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auraのロシア語初級講座②~名詞の性~

Здравствуйте!
ロシア語講座の第二回目です。今回は、みんはやに出てくる単語と関連して名詞の性の話をしたいと思います。

ロシア語の名詞は大きく男性名詞、女性名詞、中性名詞に分けられます。
たとえば「父親」を意味する名詞は男性名詞、「母親」を意味する名詞は女性名詞、というのは納得できますよね。
ですが、ロシア語では本来性別のないモノやコトのすべてが基本的に男性名詞、女性名詞、中性名詞のどれかに振り分けられるのです。
たとえば、「机(стол)」は男性名詞、「本(книга)」は女性名詞、「鏡(зеркало)」は中性名詞です。
それぞれ特徴的な語尾を持っているので、大体は見分けることができます。
男性名詞は子音で終わり、女性名詞はаかяで終わり、中性名詞はоかеで終わるというのが原則です。
どうしてそういう分類になったのか考えたところで答えは出ません。覚えるしかないのです。
ですが、いろいろな名詞の性が区別されることでいいこともあります。
たとえば、
「そこに美しいマリヤの鏡がある」
という文章があったとします。 さて、美しいのはマリヤでしょうか?鏡でしょうか?

マリヤ(#°A°)<私よ!

日本語では文脈やイントネーションで判断するしかありません。
ロシア語では形容詞の性が、修飾する名詞の性によって変わります。
それに加えて格というものによって、修飾関係ははっきりします。
もしマリヤが美しいのなら、
Там(そこに) есть(ある) зеркало(鏡) красивой(美しい) Марии(マリヤ)
もし鏡が美しいのなら、
Там(そこに) есть(ある) зеркало(鏡) красивое(美しい) Марии(マリヤ)
となります(あえて語順は同じにしてあります)。
йとе、一文字違いですがこれで意味がまったく変わってしまうのです。

マリヤ(#°A°)<あれ?Марииはиで終わってるけど、私は何名詞なの?

マリヤは女性の名前なので、当然女性名詞です。今回は詳しく説明しませんが、基本形(主格)のМарияが格変化を起こしてМарииになっています。
形容詞が名詞に合わせて性や格を変えるといったように、文中の意味をはっきりさせたいときに現れる機能を「一致」と呼びます。


では、みんはやで「ロシア語で~」の形で出くわす単語を以下に挙げていきます。主に語源と文化の観点からミニ解説もつけてみました。星の数はロシア語の日常会話での使用頻度を(独断と偏見で)表しています。背景知識として頭の片隅に入れておくと覚えやすくなるかも。

「平和」…ミール
мир(男性名詞)
★★★★
まずは前回も出てきたмир。宇宙ステーションの名前でしたね。

「再構築」…ペレストロイカ
перестройка(女性名詞)
★★☆☆
これも前回出てきました。
「пере-」が「再」、「стройка」が「建設」というような意味です。
「пере-」という接頭辞はインド・ヨーロッパ祖語の*per-(「前」や「先」の意味)に由来し、たくさん親戚がいます。英語に入っているものだとpre-、pro-、proto-、para-、for-、first、prior、等々。

「俊敏」…ボルゾイ
борзой(形容詞男性形)
★☆☆☆
厳密にはロシア語でこの犬種は「русская псовая борзая(ロシアのつやつやの毛並みのボルゾイ)」と呼ばれます。ロシア語のборзый(ボールズィイ)またはборзой(バルゾーイ)は「俊敏な」という意味の形容詞で、「犬」という意味の「собака(サバーカ)」という女性名詞の前に付くことでборзая(バルザーヤ)という形になり、これが日本語で言うボルゾイ犬を含む視覚ハウンドの総称になっています。
今のロシア語では「俊敏な」という意味の形容詞としてこの言葉はあまり使われず、普通は「быстрый(ブィストルィイ)」を使います。
余談ですが、英語の「ハウンド(hound)」やドイツ語の「フント(Hund、ダックスフントのフント)」はインド・ヨーロッパ祖語の「*ḱwṓ」に遡ります。語頭のḱがhになっているのはゲルマン語派でグリムの法則が働いた結果です。他にここから分化したものに、ラテン語で犬を意味する「canis(カニス)」があります。みんはやではカナリアの語源としておなじみですね。あとロシア語にもсука(スーカ)という同じ語源の言葉(「雌犬」という意味)があります。…察しのいい方はお気づきかもしれませんが、大抵良くない意味で使われるので、ロシア人の前では絶対使わないでね!

「城塞」…クレムリン
кремль(男性名詞)
★★★★
ロシア語の発音は「クリェームリ」みたいな感じ。普通はクレムリと翻字されますね。クレムリはモスクワに限らず古代・中世に成立した諸都市にいくつもあります。ノヴゴロドにもカザンにもトボリスクにも。
モスクワのクレムリはロシア政府の代名詞として使われるのでこの言葉の使用頻度は高いです。

「正義」…プラウダ
правда(女性名詞)
★★★★
日本ではソ連の機関紙の名前で有名ですが、ごく一般的な名詞です。
日常会話では、「マジで?」という意味で「Правда?(プラーヴダ?)」と言ったりします。
これが形容詞になると「правый(プラーヴィイ)」と言うのですが、「正しい」という意味のほかに「右の」という意味もあります。英語のrightと似てますね。こんなふうに語源は違うのに複数の語義が一致する現象はいろんな言語間で見られます。英語のlightに対して日本語の「軽い」と「明るい(あ、かるい)」とか(これはこじつけ)。

「トド」…セイウチ
сивуч(男性名詞)
★☆☆☆
ロシア語の発音は「シヴーチ」みたいな感じ。ロシア語でセイウチは「морж(モルシュ)」です。「ёрш(ヨルシュ)」はウォッカとビールを混ぜたカクテルです。二十歳を過ぎている方、試してみてください。

「苦い」…ゴーリキー
горький(形容詞男性形)
★★★★
作家の名前としても味覚を表す言葉としても当然使用頻度は高いです。ほかに「つらい」とか「不幸な」といった意味もあります。
ロシアの結婚式には面白い習慣があって、列席者が新郎と新婦に対して「Горько! Горько!(ゴーリカ!ゴーリカ!)」とはやし立てます。すると新郎新婦はその場で熱い接吻を交わすことを義務づけられます。「苦いぞ!この場を甘くしてくれ!」とキスを促されるわけです。

「友好」…ドルジバ
дружба(女性名詞)
★★★★
世界最長の石油パイプライン、ドルジバパイプライン。
дружбаは基本的な人間関係のひとつです。基本的すぎて何を語ればいいのか…。
ロシアでは乾杯のときのバリエーションが無限にあるのですが、「За нашу дружбу!(私たちの友情のために!)」とか「За мир!(平和のために!)」とか言ったりしますね。
あと昔(20年ぐらい前)、国後島の「友好の家(Дом дружбы:ドーム ドルージブィ、通称ムネオハウス)」が話題になりましたね。今でもあります。

「少数派」…メンシェヴィキ
меньшевики(男性名詞複数形)
★☆☆☆
меньшевик(ミニシヴィーク)の複数形ミニシヴィキーです。ほぼソ連史とかの文脈でしか使われない気がします。普通に少数派と言う場合は「меньшинство(ミニシンストヴォー)」。

「多数派」…ボリシェヴィキ
большевики(男性名詞複数形)
★☆☆☆
上に同じ。でも結局レーニン率いるこっちが政権を握ったのでメンシェヴィキよりは使用頻度高めかな?普通に多数派と言う場合は「большинство(バリシンストヴォー)」。

「新しい町」…ノヴゴロド
Новгород(男性名詞)
★★★☆
ロシア語の発音は「ノーヴガラト」みたいな感じ。
「нов」が新しい、「город」が町という意味です。仮に今ロシアに新しく町ができたとしてもノヴゴロドと呼ばれるわけではありません。あくまでも固有名詞。単に「新しい町」の場合、「новый город(ノーヴィイ ゴーラト)」と言います。
новыйは英語のnew、городは英語のgardenと同語源です。
ノヴゴロドはペテルブルクからバスか電車で3時間、モスクワからだと夜行列車で8時間程度。歴史好きの方はぜひ行ってみてください。

「12月党員」…デカブリスト
декабрист(男性名詞)
★☆☆☆
12月がдекабрь(ヂカーブリ)。ロシア語の月の名前は英語と同じくラテン語起源です。
語源的にはdecathlon(十種競技)やdecadeとの類似性からわかるように10なのですが、古代ローマの暦が3月から始まり、そこから数えて10番目の月なので、12月にこの名前が付いています。

「軽くつまむ」…ザクースカ
закуска(女性名詞)
★★★★
前菜や酒の肴の意味です。ロシアの代表的なザクースカは、サンドイッチ、ピクルス、塩漬けきのこ、イクラ、肉の煮こごり、魚の燻製、サーロ(豚脂の塩漬け)、ブリヌィ(クレープみたいなの)、ペリメニ(水餃子みたいなの)等々。みんはや問になっているウクライナのヴァレーニキも水餃子みたいなものですが、ペリメニには大抵肉が入っているのに対してヴァレーニキの具はきのことかジャガイモとかキャベツとかバリエーション豊かです。

「点を取る人」…ザビワカ
Забивака(男性名詞)
★☆☆☆
2018年にロシアで開催されたワールドカップのマスコットのオオカミ。多分オスなので-аで終わっていますが男性名詞です。「叩き込む」という意味の「забивать(ザビヴァーチ)」から付けられた名前です。「ケンカ好き」という意味の「забияка(ザビヤーカ)」もかかっているらしいです。

「ばったり倒れ屋さん」…チェブラーシカ
Чебурашка(男性名詞)
★★★☆
「音を立てて倒れる」という意味の「чебурахнуться(チブラーフヌッツァ)」「чебурахаться(チブラーハッツァ)」という動詞から。
誰もが知っているキャラクター。サルではない何か。こちらも多分オスなので-аで終わっていても男性名詞です。

「核爆弾の皇帝」…ツァーリ・ボンバ
Царь-бомба(女性名詞)
★☆☆☆
ツァーリは古代ロシアの君主。ローマのCaesar(カエサル)に由来する称号です。一般に皇帝と訳される称号は別にあって、そちらは「император」です。
ボンバは核に限らず爆弾全般、英語のbomb、ドイツ語のBombeに相当します。

「ひとりでに沸く」…サモワール
самовар(男性名詞)
★★★☆
「сам-」は「自分」、「вар」は「沸かす/煮る(もの)」というような意味です。ギリシャ語のὁμο-(ホモ:同一の)や英語のsameはсамと同語源です。
元々は炭、現在は電気を使った湯沸かし器。最近はサモワールを持っている家庭も減っていると思いますが、調度品として美しいのでお土産として売っていたりします。

「行商人が背負う箱」…コロブチカ
коробушка(女性名詞)
★★☆☆
テトリスのBGM。 ロシア語の発音は「カローブシカ」みたいな感じ。単に「小箱」という意味。「箱」という意味の「короб(カロープ)」の指小形「коробка(カロープカ)」が更に可愛くなった形です。

「東方を支配する町」…ウラジオストク
Владивосток(男性名詞)
★★★☆
よりロシア語に近い表記は「ヴラヂヴァストーク」。
「влад-」が「支配」、「восток」が「東」という意味です。初の有人宇宙飛行に成功したボストーク1号もвостокです。
ということは、ひょっとしてプーチンやレーニンのファーストネームのВладимир(ヴラヂーミル)は「世界征服」?と思うかもしれませんが、実は違います。「ヴラヂ」は確かに「支配者」とか「権力」みたいな意味ですが、「ミル」の部分は元々ゲルマン系の言葉で、「偉大な」という意味でした。
ウラジオストクへは東京から飛行機で2時間半で行けて、極東の中ではそれなりに見所もあるのでおすすめ。

「携帯式対戦車擲弾発射機」…RPG
РПГ (ручной противотанковый гранатомёт)
★☆☆☆
「ルチノーイ プラチヴァターンカヴィイ グラナタミョート」の頭文字をとって「エルペーゲー」。
手持ちの(=ручной)対(=противо)戦車(=танк)の擲弾(=граната)を放つもの(=мет)。граната(グラナータ)はgrenade(グレネード)ってことですが、元々はザクロのこと。ザクロ石を表すgarnet(ガーネット)も同じ語源ですね。

「武器を持たない自己防衛」…サンボ
самбо (самозащита без оружия)(中性名詞)
★☆☆☆
「самозащита без оружия(サマザッシータ ベザルージヤ)」もしくは「самоборона без оружия(サマアバローナ ベザルージヤ)」を略して「サンボ」。武器を持たない(=без оружия)自己(=сам)防衛(=защита/оборона)。
そうです、サンボのサンはサモワールのサモです。

「軸を磁場としたドーナツ型の部屋」…トカマク
токамак (тороидальная камера с магнитными катушками)(男性名詞)
★☆☆☆
「トロイダーリナヤ カーミラ ス マグニートヌィミ カトゥーシカミ」を略して「トカマク」。磁性の(=магнитные)コイル(катушки)を持つトーラス形、つまりドーナツ型の(тороидальная)入れ物(камера)。
核融合炉に使えそうな技術らしい。専門外なのでよく知りません。

「黒い土」…チェルノーゼム
чернозем(男性名詞)
★☆☆☆
「черн-」が黒い、「зем」が土とか土地という意味です。標準的なロシア語ではチェルナジョーム」というような発音です。ウクライナ語ではчорнозем(チョルノーゼム)で、こちらのほうが近いですね。
この単語は農業や園芸等では使われるかもしれませんが、日常会話で単に黒い土というときは「чёрная земля(チョールナヤ ゼムリャー)」と言います。一般的な「黒い土」と専門用語としての「黒土」みたいな使い分け。
ちなみに原発事故で有名なウクライナのチェルノブイリの「チェルノ」も同じで、こちらは「黒い草」。ロシア語ではЧернобыль(チェルノーブィリ)、ウクライナ語ではЧорнобиль(チョルノーブィリ)です。この地名はヨモギの仲間のオウシュウヨモギを指す言葉に由来し、その茎が黒っぽいことからこう呼ばれるみたいです。

「航空艦隊」…アエロフロート
Аэрофлот(男性名詞)
★★★★
ロシア最大の航空会社。аэро-はギリシャ語由来で英語のairと同語源、флотはオランダ語由来です。昔はサービスがひどかったのかもしれませんが、今は普通に快適です。

「火花」…イスクラ
искра(女性名詞)
★★★☆
レーニンたちが創刊した機関紙。

「破滅」「破壊」…ポグロム
погром(男性名詞)
★☆☆☆
特定の民族などに対する迫害行為を指します。あまり日常的に使う語彙ではないです。

「故郷」…ロディニア
родина(女性名詞)
★★★★
ロシア語で故郷は「ローヂナ」と発音します。ロディニアはこの語幹に地名を表す-iaを付けて造られた言葉。

「報道」…イズベスチヤ
известия(中性名詞複数形)
★★★☆
中性名詞известиеの複数形。-вес-の部分は「知る」というような意味で、実はインドのリグ・ヴェーダとかのヴェーダ(知識)と関係しています。

「与えられた」…ダーチャ
дача(女性名詞)
★★★★
дать(与える)から派生した言葉です。ロシア人は郊外にダーチャを持っていることが多いです。


以上で名詞の性についてのお話を終わります。格や数についての話もちょっと出てきましたが、これについては次回以降に解説しようと思います。

( •ω•)ノ゙<Пока-пока(パカパカ~)!またね!

aura

@enbkshtk

ロシア語屋さん。日本の人口の半分の第二言語を英語からロシア語に変えることが目標です(嘘)みんはやIDは「JJ7RV6」